テレビで四日市ぜんそくの資料館が出来たと放送していました。
四日市ぜんそくは、皆さんご存知のとおり、三重県四日市市のコンビナートの周辺で、重度の喘息患者が急増し、多数の死者が出た事件です。
コンビナートの6社が訴えられ、有罪判決が出てから、ようやく公害対策が進み、現在ではかなり改善されたと言われています。
私も四日市へ行ったことはありますが、私の印象は「臭い」というものでした。四日市に住んでいる知り合いは「昔よりずいぶん良くなったよ」とい言っていましたが・・・
さて・・・
四日市ぜんそく訴訟で訴えられた企業の一つに、石原産業(株)【4028】という会社があります。最近の業績は好調で、株価も上昇傾向にあるようですね。
この石原産業ですが、私には四日市ぜんそくよりも、「フェロシルト事件」のほうが印象に残っています。
伊勢湾へ流れこむ河川の上流地域の岐阜県、三重県、愛知県の埋立地に、二酸化チタンを生成したあとの産業廃棄物を「無害な埋め戻し材」と偽って販売し、土砂災害や金属汚染が広がった事件です。元副工場長ら4人が逮捕され、損害賠償訴訟でも485億8,400万円の支払いを命ぜられ、フェロシルトを撤去するよう命ぜられていますが、ほとんど撤去していないようです。
この頃のニュース映像が印象に残っています。
岐阜県の造成地で、雨が降ったあと、土砂崩れが起きて、その後赤い泥水がだくだくと流れ出ていました。
あの赤い泥水はどこへ行ったのでしょう。当然、海、伊勢湾ですよね。
他にも石原産業は、伊勢湾の四日市港に強酸性溶液を垂れ流していた「石原産業事件」も起こしています。この事件は四日市ぜんそくが問題になっていた頃ですから、石原産業の遵法精神の無さがよく分かります。
また、ウィキペディアの石原産業の不祥事の欄のとおり、
毒ガス「ホスゲン」を無届で作っていた
地下水から環境基準500倍のヒ素が検出された。
廃棄物の放射線量のデータ改ざんし三重県に虚偽報告
アンモニアガスを40年以上にわたり伊勢湾に放出
等とあります。
こうして石原産業は少しずつ伊勢湾を蝕んでいったのです。
このように伊勢湾を汚しまくった石原産業(株)【4028】ですが、本社は大阪にあります。私は「フェロシルト事件」が起きた時、初めてこの会社の存在と大阪に本社があることを知って、「なぜ大阪湾にコンビナートを作らなかったのか。なぜ伊勢湾上流の地域にフェロシルトを売ったのか。伊勢湾なら公害が起きても良いと思ったのか!」と憤ったものです。
やっぱり自分の目の前の海を汚したくなかったのでしょうか。海はつながっているのにね。
以前、今年(2015)の潮干狩りはアサリが少ないらしいという記事を書きましたが、伊勢湾でアサリが減っている理由の一つが水質の悪化です。
水質悪化でアサリの餌となるプランクトンが減少してしまっては、アサリは増えません。アサリを食べるツメタガイなら、プランクトンが減少しても直接の影響は少ないでしょう。
フェロシルトのように少しずつ融けだして影響をあたえるものは今後どうなるのかわかりません。伊勢湾で潮干狩りができなくなったら困ってしまいます。
さて、石原産業(株)【4028】の業績は好調のようですが、損害賠償はしっかり支払っているのでしょうか。フェロシルトの撤去をお金をかけてやってくれるでしょうか。それとも公害が足を引っ張って、業績が悪化するのでしょうか。